司法書士の目から見た会社法入門Q&A

<第5回> 定款の定め方~機関~

司法書士 大越一毅

このコーナーは、平成18年5月1日に施行された会社法について、平易な言葉で分かりやすく説明するものです。


毎回テーマを決め、これから起業を考えている方および現在会社を経営している方にも役立つ情報を提供していきたいと考えています。

第5回である今回も、会社の根本規則である「定款の定め方」です。前回の告知通り、今回は、「機関」について詳細を説明します。その他の規定については、次回以降に解説します。 

 

1. 「機関」とは

定款の「機関」の章には、株主総会や役員に関する事項など、会社運営や意思決定の方法に関する事項を記載します。通常、機関で規定する事項は非常に多いので、株主総会や各役員で独立の章とすることが一般的です。 

会社は株主総会や取締役会などで重要な事項を決定することになるので、「機関」の定款規定は、会社にとって「脳や神経」とも言えるでしょう。したがって、この部分はあらかじめ定款の整備をしておくことは勿論のこと、会社の規模等に応じて、定期的に見直すことが重要です。次項以降で、主な各規定を見ていきましょう。

 

2. 株主総会

株主総会については、通常、総会の議長・決議方法・招集方法・議決権の代理行使方法・株主総会議事録などの事項を記載します。前述のとおり、株主総会で一つの独立の章とすることが一般的であるため、上記各事項で、それぞれ条文をわけたほうが分かりやすくていいと思います。 

なお、記載内容については、会社法施行前とさほど変わりありません。但し、株主総会議事録については、定款上で出席役員の記名押印(又は署名)義務を課さない限り、法律上は誰も押印する必要がなくなりました(会社法318条)。したがって、出席取締役の氏名等所定事項を記載したA4用紙1枚(誰のハンコもない。)でも、有効な株主総会議事録となります。役員数の多い会社などでは、総会後、役員全員が議事録に押印する必要がなくなるため、手間がかからず便利です。しかし、株主総会議事録は、株主や会社債権者の閲覧対象ですし、登記手続の添付書類となることもあるため、あえて、定款上で、役員の記名捺印義務を課すべきだと考えます。また、定款上、記名捺印義務を課さなかったとしても、反対株主の多かった決議事項を記載した株主総会議事録では、議事録の真正担保のために積極的に出席役員が記名捺印をすべきでしょう。少なくとも、議事録作成を担当した役員(又は社長)だけでも、常に議事録に記名押印することをお勧めします。

 

3. 取締役、取締役会

取締役は、株主総会において選任され、会社の業務執行をおこないます。会社運営の細部の事項まで、いちいち株主総会で決議していては、スピーディーな対応ができず、ビジネスチャンスを逃す場合もあるからです。したがって、株主総会で選任した信頼できる人を取締役とし、会社の運営をある程度任せることとなります。取締役は、どんな規模の会社でも必ず1人は置く必要があり、定款で選任できる取締役数の上限・下限を定めるのが一般的です。 

その他にも、取締役の任期や選任・解任方法などを定めます。また、取締役が複数いる場合に、その意思決定機関として取締役会を置く会社では、取締役会に関する事項(招集や決議方法等)も定める必要があります。 

会社法施行前の株式会社では、取締役会の設置は必須でしたが、株主=社長のような、所有と経営の分離のないオーナー会社では、業務執行決定をわざわざ合議にする必要性は薄いので、取締役会を置かないという選択もできるようになりました。 

 

4. その他役員に関する規定

監査役や会社法で新たに出来た役員である会計参与などを置く場合には、それらの役員に関する事項も定款に定める必要があります。これらの機関についての詳細な説明は、別の回にしますので、今回は省略します。

 

5. まとめ

会社法施行により、会社ごとに自由に機関設計ができるようになりました。これにより、会社の規模に合わせた機関設計が重要になります。置いてあるだけで全く機能しない監査役であれば、置く必要はありません。取締役会についても必須機関ではないため、数合わせのため、わざわざ親族等に取締役になってもらう必要もなくなりました。選択する機関設計によって、各事項の決定機関が変わりますので、機関設計の際には、私たち専門家に是非ともご相談ください。 

次回は、「定款の定め方~計算・附則~」を予定しています。

 

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